受賞者

平成30年度<風戸研究奨励賞> 受賞

※研究者の所属等は受賞時点のものです

授賞課題:原子分解能その場TEM機械試験法による局所変形・破壊現象の解析

東京大学 大学院 工学系研究科 助教
栃木 栄太

栃木栄太氏の研究は、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて結晶性材料における結晶粒界、変形双晶及び転位などの結晶格子欠陥の原子構造解析に関する研究であり、特に、原子分解能その場TEM機械試験の実証実験を通じて、結晶性材料の変形・破壊現象の素過程を解明することを目指したものです。

栃木氏は、現在までに、α-アルミナにおいて双結晶法を用いてSr, Ni, Er, Ti, Zrをそれぞれ添加したアルミナ小傾角粒界を作製し、それらの原子構造を高分解TEMと走査透過型電子顕微鏡(STEM)によって解析することで、小傾角粒界中のドーパント原子の振舞いを明らかにしてきています。

今回の奨励賞における研究では、力学的負荷に伴う結晶内部の転位や変形双晶の形成、亀裂の進展に伴う変形、破壊現象の素過程を明らかにするために、微小電気機械システム(MEMS)を用いて小型荷重負荷デバイスを作製し、2軸傾斜電圧印加TEM試料ホルダーに搭載させることにより、原子分解能でのその場TEM機械試験の実証実験を行うことです。特に、集束イオンビーム装置(FIB)を用いて試料作製を行うことにより、小型荷重負荷デバイスに結晶片を固定し荷重負荷可能な形状へと加工、観察部分をさらに薄膜化することが可能となり、原子分解能でのその場(S)TEM機械試験が実現可能になると期待されます。本研究を通じて、原子分解能その場TEM機械試験法を確立し、結晶性材料が示す力学的負荷に対する変形・破壊現象に適用することにより、セラミックス材料・構造材料分野における変形・破壊現象の理解・解明に大きく貢献するものと期待できます。

栃木 栄太
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