受賞者

平成24年度<風戸研究奨励賞> 受賞

※研究者の所属等は受賞時点のものです

授賞課題「三次元トモグラフィー法による紡錘体形成メカニズムの解析」

名古屋大学 大学院 理学研究科 生命理学専攻 博士研究員
釜崎 とも子

 釜崎とも子氏の研究は、細胞分裂の基軸となる紡錘体の微細構造を、電子線トモグラフィーおよび三次元モデリングによって解析し、機能的な紡錘体の形成メカニズムについて分子レベルで明らかにすることを計画しています。
 生命の継承に必須の事象である細胞分裂においては、アクチン繊維や微小管などの細胞骨格が、収縮環や紡錘体などの特徴的な構造を形成し、細胞質および染色体が二分される際に、必須な役割を果たしています。

 釜崎氏は、先に分裂酵母を用いて、細胞周期の進行に伴うアクチン繊維の方向性の変化をミオシンS1修飾によって可視化し、細胞質分裂における収縮環の形成・収縮機構を明らかにしました。また、ヒト培養細胞を用いて、有糸分裂を司る紡錘体を三次元トモグラフィーにより解析し、既存の紡錘体微小管を足場として、そこから新しい微小管が増幅する「微小管依存的微小管生成」機構を提唱しました。
 今回の研究は、これらの成果をさらに発展させ、紡錘体が機能的な三次元構造を形作る仕組みの解明を目的としています。その一端として、微小管モーターや架橋タンパク質が紡錘体の微細構造に及ぼす影響に注目しています。これらの遺伝子を機能阻害した細胞および未処理の細胞を加圧凍結置換固定し、紡錘体の切片を電子線トモグラフィーにより解析する予定です。
 本計画は、細胞分裂における紡錘体形成、その制御メカニズムを微細構造に基盤をおいて分子レベルで解明することを目指すものです。これは、細胞分裂の乱調であるガン細胞の抑制や、有効な治療薬の開発につながる可能性を秘めた、重要な研究です。


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